九州中部2016年4月の地震と原発
A. 布田川・日奈久断層帯の分割 政府の地震調査研究推進本部は、従来の11:布田川・日奈久断層帯を2つに分け、11-1:布田川断層帯=西から 宇土半島北岸・宇土・布田川の3区間、(西・中は追加) 11-2:日奈久断層帯=北から 高野-白旗・日奈久・八代海の3区間 とした(九州地域の活断層の長期評価(第一版)概要、2013.2。右の2図の出典)。 これらを含めた九州中部で今後30年にM6.8以上の地震が発生する確率は18〜27%としていた。 布田川区間+日奈久断層帯全体が同時に活動する可能性も重視していた。 B. 熊本地震の前震と本震 4.14_21:26の前震(M6.5)は、11-2:日奈久断層帯の高野-白旗区間、4.16_01:25の本震(M7.3)は11-1:布田川断層帯の布田川区間 で発生した(地震本部の地震調査委員会、2016.4.17)。 これは、点で表わされた震源や、横長の面で表わされる地下の震源断層の解析に 基づいている(国土地理院など)。 大きな地震のあと、さらに大きな本震が起こるか、余震だけで収まるか、予測は極めて困難。 布田川区間では、地表地震断層を現地調査と航空写真で確認している 地表地震断層の南西端は日奈久断層帯の高野-白旗区間にかかっているが、さらに南部は不明。 地殻変動の様子(国土地理院)は 従来の11:布田川・日奈久断層帯を境にしている 阿蘇カルデラ内にも地表地震断層が確認され、 布田川区間は、想定されていた19kmより長く、 阿蘇カルデラ内に達する27kmとの見方が有力(地震調査委、2016.4.17)。 C. 大分県で地震誘発、さらに東へ? 本震のあと、阿蘇地方や大分県の由布や別府でも、地震が続発した。布田川断層帯による地震の影響を受け、 別府湾内から大分県西部までの この東には、四国北部を貫き紀ノ川から奈良県まで続く中央構造線断層帯がある。 四国電力の伊方原発(愛媛県)はこの断層帯の南側に沿った佐田岬の根元付近にある。 1596年9月の慶長地震では、中央構造線に沿って別府湾(4日, M7.0-7.8?)・伊予(3日, M7.0?)・ 関西の伏見(5日, M7.1?)の地震が連動していたとの見方もある。 地震連鎖の東進が気懸りである。 D. 南西へも地震誘発? 熊本・大分地震の余震はこれまでになく多く、熊本平野南部から別府にかけて帯状に集中している。さらに日奈久断層帯を南に延びて八代市など南西部で小規模地震が多発している。 余震は八代海区間でまばらになっているが、その延長線上の甑島をこえた薩摩半島西方沖で 小規模地震の異常な集中が見られる(右下図)。(防災科学技術研究所 Hi-net: real time) ここでは、2015年11月14日 5:51にM7.1の地殻内地震が発生し、その後も活発である。 日奈久断層帯との間は、激しい活動の前の不気味な静けさかも知れない(??)。 なお、この場所は開きつつある沖縄トラフ(舟状海盆)に位置している。 沖縄トラフは九州中部の別府-島原地溝帯・中央構造線と連なる地殻の大きな割れ目として研究されつつある。 E. 川内原発周辺は? 九州中部から南部にかけて、布田川・日奈久断層帯に並行して南側に緑川断層帯や出水断層帯・甑断層帯・市来断層などがある。 九州電力の川内原発(薩摩川内市)は、このような断層地帯の中にある。 熊本・大分地震に連動した大地震の南下が懸念される。 1997年の鹿児島県北西部地震では、川内原発の北東約20km前後を震源として、 3月26日に本震(M6.6) が起こり、5月13日にはあまり変わらない余震(M6.4)が起こった。 地震を起こした活断層は地下に伏在している。 断層地帯では、地表地震断層とともに伏在断層の存在可能性も重要である。 さらに、川内原発は霧島火山群・鹿児島湾奥の姶良カルデラ・桜島を含む西日本火山帯の約50km 西にある。 巨大噴火や大地震などの災害時には、屋内退避や緊急避難が極めて困難になる恐れがある。 |
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